東レ・オペロンテックス株式会社

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ニッポン、繊維の底ヂカラ!

2014/02/04

Vol.05 アクタ株式会社(静岡県磐田市)

医療用伸縮テープのパイオニア

浜松からJRで11分。磐田駅で下車し、駅前から伸びる通称「ジュビロード」に沿って北へ約25分歩くと、アクタ株式会社がある。同社は1970年代半ば、当時として革新的な伸縮する医療用粘着テープを独自開発したメーカーだ。培った製造技術やノウハウを生かし、近年はスポーツ用テーピング材にも注力。行動力溢れる若手社長のもと、新たな市場の創造に取り組んでいる。


伸縮する糸でひらめく

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医療分野で40年近くに渡って支持されている「ニューハレ」

戦前にシャツ地などの織布で創業。1951年にシベリア抑留を経て帰国した芥田晃志現社長(以下、晃志社長)の祖父が、芥田織布を設立する。当時はごく普通の織布企業だった。転機をもたらしたのは、晃志社長の父で前社長の修治氏。「父には、下請けから脱却したいという強い思いがあった」と晃志社長は振り返る。

1960年代後半、同社は、細幅織物の自社工場で作った包帯を、東京、大阪、名古屋の企業へ供給していた。ある時、ポリウレタン弾性繊維「ライクラ®ファイバー(当時はオペロン®)」を使った紡績糸で、広幅生地を織って欲しいとの依頼が舞い込む。見た目は綿の紡績糸だが、伸縮性がある。その糸を見て修治氏はひらめいた。これを使って伸び縮みする医療用粘着テープを作れば新たなビジネスになる。当時、ガーゼや点滴針などを固定するための粘着テープはあったが、伸縮する粘着テープはなかったからだ。


生き物のように踊る

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こん包は敢えて人の手で

ただ、その商品化は容易ではなかった。衣類に使う織布であれば、数%~20%も伸びれば十分だったが、修治氏は医療用テープとして使うには、皮膚の伸びにあわせて50~60%の伸び率が必要だと考えた。織りあがった生地を晒加工すると「まるで生き物のように踊るし、シワもよる」(晃志社長)。そんな難物の加工を請けてくれる工場を探すことも大変だった。

ちょうどその頃、大手樹脂メーカーが、かぶれ問題の解消を狙ったアクリル系粘着剤の開発に成功。絆創膏用に展開していた。それまでの固定テープに使われていた粘着材はゴム系など、皮膚かぶれの懸念があるものが主流。修治氏は、開発中のテープに新しい樹脂を使いたいと申し出る。用途拡大を狙っていた樹脂メーカーにとっても渡りに船の話だった。